テキストは必要なのか
資格試験に挑戦するとき、最初に購入しようと考えるのが、テキストと問題集でしょう。
私もかつては、そのように考えていました。現職の頃から資格試験をいくつか受けてきました。「ビジネス著作権検定 初級・上級」「個人情報保護士」「メンタルヘルス・マネジメント Ⅱ種(ラインケアコース)」「ファイナンシャルプランニング技能検定 3級・2級 (個人資産相談業務)」といった資格試験です。それらの資格は何とか取得することができました。
「ファイナンシャルプランニング技能検定」を除いて、これらの試験のテキストや問題集は、ほぼ公式のものしかありませんでした。公式のテキストはしっかり作られているので安心して使用できます。試験に必要な事柄は、網羅されています。テキストに掲載されていない事柄は、試験に出題されることは、ほぼありません。それでもあまりテキストを使用することはありませんでした。
ここではテキストが必要かどうか、について述べていきたいと思います。テキストは、それほど必要なものではないと、私が考えている理由を述べていきたいと考えています。
テキストは読んでも理解できない
残念ながら資格試験のテキストは、私には読んでも理解できませんでした。私には、その試験で問われることについて、ほとんど知識がなかったからです。テキストを読んで理解するためには、ある程度の予備知識が必要だといえます。0の状態から丁寧に解説されているテキストはほぼないでしょう。
行政書士試験のテキストも同様でした。行政書士試験のテキストのほとんどは該当する条文や判例の解説といえます。全くといってよいほど法律に関する用語を知らない私は、テキストを読んでもほとんど理解することができませんでした。法律関係の独特のいいまわしにも慣れることができませんでした。
行政書士試験は、試験の範囲がとても広い試験だといえます。試験範囲を1冊のテキストでカバーすることは非常に困難だといえます。行政書士試験向けのテキストは一般のテキストより厚くなっています。それでもカバーしきれていないでしょう。
憲法分野については事前知識が少しだけあった
それでも憲法分野は、判例も多く、読んでいると何となくわかってきます。「この条文をもとにして、こんな判例が導きだされるのか」と納得できます。なぜなら憲法に関しては、高校や大学での学習経験が少しはあるからです。全く知らないというわけではないのです。新聞やテレビで目にしたことがある事柄もでてきます。こうした事前知識が理解を助けているわけです。だから憲法分野については、テキストを読んでいると何となくわかってくるのです。
民法は 家族法 > 物権 > 債権 の順で知識がなかった
では民法はどうでしょう。確かに家族法の分野については、判例を読んでいると興味がわいてきます。どこかで見たり聞いたりしたことがある判例もでてきます。ですから家族法については、何となく理解することができます。
しかし、行政書士試験の民法の中で家族法が占める割合は、それほど高くはありません。中心になってくるのは物権や債権なのです。ところが私は、これらに関して知識も体験もほとんど持ち合わせていなかったのです。テキストを読んだところで頭に入ってこないのです。何をいっているのかさっぱりわからないことも数多くありました。
だいたい民法分野のところでテキストを読むのがいやになってきます。読むのがいやになって、先に進まなくなります。テキストから遠ざかります。挫折です。家族法まで到達できない、というのが正直なところでした。
行政法も知識がなく、民法と同じく挫折
行政法についても状況は民法と同じでした。行政書士試験では行政法として、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法から出題されます。行政組織法や国家賠償法はほんの少しわかりました。しかし行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法となると、何が何だかわかりません。行政書士試験での行政法分野は理解するというよりは覚えることが中心です。ですから何も覚えていない私には、理解することができないわけです。予備知識がないので、テキストに書かれていることが理解できないのです。テキストに書かれていることのほとんどは条文を解説したものです。扱わなければならない条文の数が多いので、解説の量もそれほど多くはありません。このことはさらに理解できない理由となっていました。
行政組織法のように行政機関の組織について覚えれば良いのであれば、何とかなります。国家賠償法のようなストーリー性のある事柄であれば興味ももてます。ですがその他の分野については、テキストを読んでも理解することができません。読むのがいやになって、先に進まなくなります。だんだんとテキストから遠ざかっていきます。また挫折です。
商法・会社法はさらに理解不能
定年退職した私は民間企業に勤めていたわけではありません。ですから会社勤めの経験は、全くありませんでした。取締役と取締役会、代表取締役の違い、監査役と会計参与の違いなども、さっぱりわかりませんでした。監査等委員会設置会社や監査役会設置会社はどう違うのでしょう。監査等委員会と指名委員会等設置会社はなぜ「等」のつく場所が異なるのだろう。何のことやら全く理解できません。商法も同様です。会社の知識と同様、商業に関する知識もありませんでした。
ここまでひどいと、商法・会社法については、テキストを読む気にさえなりませんでした。字面だけ追ってはみるものの全然わからないのです。民法、行政法に続き、挫折です。
理解できないテキストにすがっても仕方ない
開き直りました。理解できないテキストにしがみついていても仕方がありません。何回も何回も読み返し、繰り返さない限り、テキストの内容は頭に入らないでしょう。ここに時間を奪われてはもったいない。テキストを読むことよりも、問題を解くことに時間をさかなければいけません。本試験で問われるのはテキストを読む力ではなく、問題の答えを見いだす力です。問題が解けなければ試験に合格することはできません。
そこで『合格革命 行政書士 肢別過去問集』(早稲田経営出版・TAC出版)に全てを託すことにしました。テキストをすらすら読むためには、『肢別過去問集』がすらすら解けるようになっていることが必要だ、と考えました。『肢別過去問集』がすらすら解けるくらいに知識が身についていれば、テキストも読めるはずです。テキストを熟読するのは、『肢別過去問集』が解けるようになってからでも遅くないはず、と考えました。知識量がある程度なければ、どうせ読みこなせないからです。