模擬問題集には必ず取り組む

行政書士試験

模擬問題集は必ず取り組むべき

模擬問題集、予想問題集などといわれる本試験の模擬試験的な問題集には、必ず取り組むべきです。

とはいっても問題集の使い方をまちがえてしまうと「やらないほうがよかった」という結果を生んでしまいます。私自身の模擬問題集の使い方で大失敗をし、1年を棒に振ることになってしまいました。

ではどのように模擬問題集を使っていけばよいのでしょう。模擬問題集の使い方について、私の失敗経験と成功経験をもとに考えてみたいと思います。

時間を決めて

模擬問題集ですから、できるだけ本試験に近い形で問題に取り組みたいものです。私の場合は、10月末から本試験と同じ時間に、模擬問題を開始するようにしていました。13時00分模擬試験開始です。

同じ時間に開始することで、自分のコンディションを把握し、調整することを心がけていました。

昼食はとった方が良いのか、どのくらいの量をとれば良いのか。食べた方が良いのか、食べない方が良いのか。何時頃にとれば良いのか、何を食べれば良いのか、などなど。食事一つをとっても、さまざまなことを考えなければなりません。13時00分本試験と同時刻に始めることで、自分の状態を把握し、調整を図りました。

模擬試験問題集は何冊

私は模擬試験は市販されている問題集を使用していました。

  • 『行政書士 法改正と完全予想模試』(成美堂出版)
  • 『本試験をあてる TAC直前予想模試 行政書士』(TAC出版)
  • 『出る順行政書士 当たる! 直前予想模試(出る順行政書士シリーズ)』(LEC東京リーガルマインド )
  • 『合格革命 行政書士 法改正と直前予想模試 (合格革命シリーズ)』(早稲田経営出版 TAC出版)
  • 『うかる! 行政書士 直前模試』(伊藤塾 日本経済新聞出版)

この5冊です。成美堂2回、TAC3回、LEC3回、早稲田経営3回、伊藤塾2回、昨年度の本試験問題1回(TACとLECの模擬問題集に集録)の合計14回分を実施することになります。模擬試験を全14回実施したことになります。本試験と同様とはいっても、それぞれの模擬問題集には、難易度や出題の仕方に違いがあります。いくつかの模擬問題集に取り組んでみることをお薦めします。

模擬問題集で何をする

模擬試験問題集で新たな知識を得るべきではない

模擬問題集に取り組んだときに、気をつけなければならないことがあります。

定年退職受験生1年目のときに、私は大きなまちがいしました。模擬試験問題集に出題された新たな知識を精一杯習得しようとしたのです。その結果が不合格です。

模擬問題集に取り組んだときに、一番気になるのは、自分が合格点に到達しているかどうかです。定年退職1年目の時に模擬問題集に取り組んだときには、160点から170点位の間をさまよっていました。なかなか合格点には届きませんでした。解答を確認し解説を読んで、よくわからないことはネットで調べていきます。この時点でよくわからなかったことは、テキストではよくわからないことばかりでした。テキストには掲載されていないことも数多くありました。新しく知った事柄です。ですからネットの情報をたよりにして、いろいろと検索し、調べていきます。

第2回目、同じ問題に再び取り組みます。この時点でぎりぎり180点に近い点数を残せるようになってきました。自信もついてきました。

これが大きなまちがいでした。模擬試験問題で合格点をとっても仕方ないのです。しかも2回目で合格点をとっても意味がないのです。たとえ模擬試験問題でひどい点数であったとしても、本試験で合格点がとれれば何の問題もないのです。あたりまえですが本試験で合格点を取ることが大切なのです。

大切なのは過去に出題された基本問題

模擬試験問題集にでてくるような新しい事項は、ほとんど気にしなくてかまわないのです。私は、そう思うことにしました。模擬試験問題集に出てきた新しい事柄に関わっていると、時間がいくらあっても足りなくなります。1冊の模擬試験問題集だけでなく複数の模擬試験問題集に取り組んでいればなおさらです。知らないことだらけになってきます。それでなくても試験範囲が広い行政書士試験です。なおさら間に合わなくなってきます。

本試験で大事になるのは、やはり過去に出題された基本的な問題です。これをまちがいなくクリアできることが大切なのです。大概の方は、試験の直前期になって模擬試験問題集に取り組むことと思います。その時期に新たな知識がたくさん入ってきたら収拾がつかなくなってしまいます。この時期は、本来、まとめの時期です。新しい事柄というよりは、これまで勉強してきた事柄を、もれのないようにし、確実な定着を図り、いつでも取り出せるようにしておくことが重要なのです。

しかし新しい事柄が出題されると不安になります。模擬問題集も「予想」とうたっていますので、なおさらです。こんな問題に出会うと「今年は本試験でこのような問題が出題される可能性が高いのだな」と思ってしまいます。本当は「このような問題が出題される可能性もある」だけなのです。実は「出題される可能性」は、出題の範囲に入っていれば、どんな問題にもあります。どんな問題にも出題の可能性はあるのです。

そこで退職受験生2年目の私は、少し考えました。昨年と同じ失敗をしてはならない。今年こそ合格しなければ、と。

模擬問題集は誰が作成しているのでしょう

模擬問題集の問題を作成しているのは、あたりまえですが本試験の問題作成委員の方ではありません。多くは資格予備校の講師の先生方や資格予備校の問題作成委員の方々です。本試験の問題作成委員の方々が1年間かけて作成する本試験の問題と比べると質の面で大きく異なると思えます。

市販の問題集はおおむね5月くらいには出版されています。したがって本試験の作成委員の方々も、きっとこれらの問題集を目にしているでしょう。自分が試験問題作成委員だとしたら、ちまたではどんな問題が予想されているのか気になります。しかも模擬問題集は、一般の書店で目にすることができます。手にとることもできます。であれば本試験の問題作成委員の先生方は、購入まではしないとしても、自分の担当分野で、どんな出題がなされているのかは見るのではないでしょうか。

ということは、そこで問われている新しい事柄は、よほどのことがない限り、本試験で出題されることはない、と考えた方が良いはずです。なぜなら同じ問題を出題したら「本試験の問題をみごとに予想的中!」と次年度大きく出版社や資格予備校に宣伝されてしまいます。問題作成委員の先生方は、そんな事態になることは避けたいと考えるはずです。

だいたい予想が的中しているのは、これまでも繰り返し問われてきた重要な論点ばかりです。新たな傾向の問題が的中することは、ほぼないでしょう。試験作成委員の方々も、新傾向問題で予想的中となることはなおさら避けたいはずです。

新傾向の問題は、重要な法改正があったところ

模擬試験問題集に掲載されている新傾向の問題で、本試験でも出題されるとしたら、重要な法改正がなされた事柄でしょう。しかし、こうした重要な法改正は、最新のテキストや最新の過去問にも反映されています。ですから過去問を徹底的に攻略しておけば本試験でも大丈夫なはずなのです。

私は、このように考えて、模擬試験問題集に収録されているがテキストに載っていない事項は、重要視しないことにしました。模擬試験問題で合格点をとっても仕方ないのです。本当に必要なことは、過去の問題で繰り返し繰り返し問われている重要な論点をはずさないことです。基本的な問題で確実に得点を重ねていくことこそ大切なのです。

『肢別過去問集』の歩みをとめてはいけない

模擬問題集で新しい事柄が出題されていても、気にしなくて大丈夫です。この時期に新しい事柄を追いかけることよりも『合格革命 行政書士 肢別過去問集』(早稲田経営出版 TAC出版)の歩みをとめないことこそが大切なことです。

繰り返し述べてきたとおり、退職受験生1年目の私は、模擬問題集で出題された新しい事柄に気をとられた結果、『肢別過去問集』のペースが落ちてしまいました。

ペースが落ちてしまった結果、覚えている事柄を維持するよりも、忘れてしまうことの方が多くなっていきました。自分が定年退職受験生であることを忘れてはいけなかったのです。若い頃のように、どんどん新しい知識を取り入れていける頭脳ではないのです。すでに放っておけばどんどん抜けていってしまう頭脳なのです。

その結果、せっかく繰り返し取り組んできて、それなりのペースで取り組めるようになった『肢別過去問集』が、思うように進まなくなりました。忘れてしまっていることが多くなりました。模擬問題集で出題された新しい事柄も頭に入っているわけではありません。どちらも中途半端な状態です。どっちつかずで最悪な状態です。過去問で出題された事柄も解けません。新しい事柄も解けません。

あたりまえですが、不合格になりました。

『肢別過去問集』の取り組みを始めたからには、その歩みは、決して止めてはいけないのです。