問題集のチェック欄を上手に使いましょう
『合格革命 行政書士 肢別過去問集』(早稲田経営出版・TAC出版)には、欄外にチェックボックスがあります。□□□と3つのチェックボックスが並んでいます。肢別過去問集の説明には、下記のように書かれています。
・各肢の左欄外部の□□□について
この□□□は、自己の学習結果を記載するものです。
各肢の学習が終わったら、その理解度に応じて、
〇 正解をするとともに、その理由までを理解している
△ 正解はしたが、その理由付けがあいまいあるいは間違っていた
× 間違えた
を付け、次回の学習の時に役立ててください。
そして、本試験日までには、全ての肢が〇になるようにしてください。
みなさんはこのチェックボックスをどのように使っているでしょうか。私の失敗例をもとにチェックボックスの使い方を考えていきたいと思います。
ひとめでわかるチェックボックス
チェック欄には□が3つ並んでいます。3つのチェックボックスしか並んでいません。3つで足りるのでしょうか。
当然、足りません。
□を上手に使って、□の中に/ \と両側から斜線を入れたりして、□1つを何回か分けて使用すれば、□3つでも3回以上に使うこともできます。色を変えて上から線を引くなどの工夫すればさらに回数を増やすこともできます。しかし、それはお薦めしません。
やっただけその成果がひとめでわかるようにしておくことは、非常に大切なことなのです。あまり細かい使い分けをしてしまうと、ひとめ見ただけでは、わからなくなってしまいます。
私は、問題が正解だったときは□に○、問題が不正解だった場合は□に×を入れていました。まあ、普通の方法でしょう。肢別過去問題集の使い方にある△は使いませんでした。△をつけるか、×にするか、判断があやふやになるからです。○か×かは明確です。迷いようがありません。すぐに判断できれば余分な時間がかかりません。リズムよく勉強を進めることができます。
3回目が終わるとチェックボックスがなくなります。各肢の重要度を示すABCと□□□の下に○×を6つずつ並べていくことにしました。これで8回分が記入できます。あとはこの繰り返しです。2段目に6回分、3段目に6回分のチェックをしていきます。
チェックボックスは3つでも5つでも関係がない
肢別過去問集には、以前は各肢にチェックボックスが5つずつ並んでいました。しかし現在は3つに減っています。3回で十分だということではないと思います。5つチェックボックスが並んでいると「5回も繰り返さないといけないのか」と思ってしまいます。取り組みはじめなのにメンタル面でハードルが上がってしまいます。それを防ぐためにチェックボックスを3つに減らしたのだと思います。
実は、肢別過去問集に繰り返し取り組む人にとっては、チェックボックスは3つでも5つでも関係ないのです。どうせその程度では、足りないのですから。繰り返し繰り返し肢別問題集に取り組んだ方の問題集をみると、問題集のチェックボックス欄にたくさん○が並んでいます。問題文脇の上から下まで○だらけです。ずらずらと○がたくさん並べられています。
かといって出版社にそれだけのチェックボックスをつけてもらうように求めることは無理でしょう。そんなにたくさんの□がついていたら、売り上げに影響してしまいます。ハードルが上がりすぎてしまって、購入意欲がそがれてしまうでしょう。だからチェックボックスの数は3つか5つ程度あれば十分なのです。
肢別過去問集を何回も繰り返す方は、勝手に繰り返せばいいのです。チェックボックス欄のすきまに、自分で書き込んでいけば十分なのです。
6回目以降は、欄の余白に書き足して
先ほど書きましたように、9回取り組むと○や×が1段目に3つ、2段目に6つ並びます。
10回目以降は、その6個の○×の下に同じくらいの大きさで○×を書き足していきます。満足感が生まれてきます。出版社が想定した3回繰り返し以上に、自分ががんばっていることが一目瞭然です。○×が増えれば増えるほどうれしくなります。「またがんばろう」という気持ちになってきます。
この〇×を書き込んでいく満足感が大切なのです。
○×両方をつけることに意味があります
定年退職受験生1年目のときは、○×の両方を記入していませんでした。×のときだけ記入していたのです。ところが○×両方を記入するのと、×のときだけ記入するのとでは全く意味が異なっていました。1年目のときには、そのことに気がつきませんでした。
×だけを記入することには、次のようなデメリットがあります。
- たくさん繰り返しているのに、全体の取り組み回数が一目ではわからない
- ×しか書いていないので、まちがいばかりが強調される
- 理解が進んできているはずなのに、自分の成長の過程がわからない
全体の取り組み回数がわからない
問題が×だったときだけ記入しているので、今、何回目に取り組んでいるのかが目に見えない、という欠点があります。
繰り返し繰り返し取り組んでいるのですから、その成果はひとめでわかるようにしておきたいものです。ひとめで見て、「こんなにがんばっているんだ」と自分のがんばりを褒めてあげたいのです。「私は、こんなにがんばっているんだ」と満足したいのです。全部の問題に○×が記入してあれば、どの問題に取り組むときにも「すごいぞ! 自分」と励みになります。
ですから○と×両方を記入していくことが大切なのです。
まちがいばかりが強調される
問題に取り組もうとするときに、×だけがずらずら並んでいると、いやな気持ちになります。5回取り組んで、5回まちがえていると、×だけ5つ並んでいるわけです。10回取り組んで、10回まちがえていると、×だけ10個並んでいるのです。やる気がそがれてきます。
○と×両方が記入されていれば、前の肢には○が5つ並んでいて、今から取り組む肢には5つ×が並んでいるということになります。「この問題はいつもまちがっているから慎重にいこう」「こんどこそまちがえないで解いてやるぞ」というようにプラスにとらえていくこともできます。
ですから○と×両方を記入していくことが大切なのです。
自分の成長の過程がわからない
不正解のときに×だけを記入していると、その×が、いつついた×なのかがわからないのです。
5回繰り返したときに×が3回記入されていた場合を想定してみましょう。
○○×××かも知れません。最初のうちは偶然あたっていたけれど、回数が進むにつれて中途半端な理解のため×ばかりになっている、といった感じです。あるいは最初の頃は、きちんと覚えていたのに、途中で忘れてしまって回復できていない、といった感じかも知れません。
一方で×××○○かも知れません。最初の頃はよくわかっていなかったけれど、4回目、5回目と進むうちに理解できるようになってきた場合といえます。
あるいは×○×○×かも知れません。時々あっているけれど確信は持てていない場合です。または単純に、偶然あたっているだけ、ともいえます。
同じように×が3回であっても、その意味は異なります。×だけが記されていると、その×が何回目についたのかがわかりません。自分が理解できるようになった問題なのか、依然として理解できていない問題なのかが、チェックボックスの欄をみてもわからないのです。自分はこの問題を解けるようになってきているのか、忘れてしまっているのか、判断がつかないのです。
今、自分がどのような位置にいるのかがわからないと、対策を立てることができません。
だからこそ○と×両方を記入していくことが大切なのです。
○と×両方を記入しなかったことが敗因のひとつ
私は、定年退職受験生1年目の受験で失敗しました。試験直前に肢別過去問集から離れたために、忘れる量が覚える量を上回ってしまったのです。その結果、せっかく積み上げてきた知識が、どんどん抜け落ちていきました。しかも抜け落ちていっていることに、なかなか気づかなかったのです。
その原因は、○と×の両方を記入していなかったことにあります。×××ではなく、○○○○○○×××と記入されていれば、「これはまずいぞ。どんどん忘れてしまっている」と気がついたはずです。ところが×××としか記入されていなかったため、「まだ3回目のまちがいだ」と安直に考えていたのです。
書くことと書かないこととは大違い
○と×両方を記入していくことと、×だけを記入していくこと。たいして違いのあることとは思わなかったのですが、実は大きな違いを生んでいたのです。
みなさんは私と同じ失敗をしないようにしてください。私の失敗例をもとに学んでください。1年を無駄にすることなく合格してください。
1問ごとに正当であれば○、誤答であれば×をつけていきます。単純です。単純ですが、積み上げていけば効果がでます。自分が取り組んできた軌跡をみることができます。自分の現在の力量をとらえることができます。とにかく繰り返すごとに〇か×を書き込んでいきましょう。