試験に合格しただけでは何もできない

登録・開業

試験に合格しただけの私

試験結果の発表がありました。無事なんとか合格することができました。発表の日にホームページで、自分の受験番号を発見したときは、本当にうれしくなりました。これまでの努力がむくわれたと感じました。本当にやればできることなのだと思いました。

いよいよ登録。そして開業です。

ここで考えました。

行政書士の仕事がわからない

一体、自分は行政書士として何ができるのだろう? 行政書士がさまざまな書類を作成することができることは知っています。でも、自分は何の書類が作成できるのだろう。仮に作成できたとしても、世の中に通用する書類を作成することができるのだろうか?

行政書士は様々な許認可に関する申請書類を、作成することができます。でも、自分は何の申請書を作成することができるのだろうか? 役所にお願いする住民票や印鑑証明書を申し込む簡単な申請書類なら、確かに書いたことがあります。しかしそんな簡単な申請書なら誰も専門家に依頼などしません。自分で申請するはずです。普通の方が作成できない複雑な書類は私に作成することができるのだろうか? 見たことも書いたこともありません。さらに申請書に添付しなければならないたくさんの書類は、一体どこでどのように手に入れれば良いのだろうか?

そもそも相談の電話が入ったときに、私は行政書士としてきちんと対応することができるのだろうか? 私を頼って電話をくださった方にアドバイスなどできるのだろうか? 親身になってお話を伺うことはできます。これまでの生活経験をもとに対応方法を提案することもできると思います。でもそれは法律的に正しい内容なのでしょうか? 法律家としての答えになっているのでしょうか? 専門家としての答えになっているのでしょうか? よくわかりません。

試験に合格しただけの自分は、行政書士として何もできないという事実がわかってきました。行政書士になることはできても、行政書士としての仕事は何一つできないのです。

行政書士の知り合いは皆無

本当の意味で行政書士になるためには、これから本格的な学習が必要です。胸をはって専門家だといえるかどうかは、これからの学習にかかってきます。依頼してくださった方に、法律家としてアドバイスができるようにならなければなりません。

体験記やブログを読むと「まず案件を受任してみましょう」という内容を目にします。そうはいっても何の見通しもなく受任するわけにはいきません。依頼してくださった方の信頼を裏切ることになってしまいます。

受任できたとしても、作成の仕方を面倒みてくれるような行政書士の友人は、私にはいません。相談にのってもらえるような行政書士の友人もいません。それどころか私は行政書士という人を見たことさえないのです。今後、行政書士登録をしたり、研修に参加したりするうちには、数多くの行政書士と出会うことになるのでしょう。しかし今はまだ、行政書士の知り合いは皆無です。私は資格予備校に通ったわけではありませんので、一緒に合格を目指した友人もいません。会場での模擬試験も受験したことがありませんので、切磋琢磨した友人もいません。誰一人として行政書士に関係する知り合いがいないのです。

そう考えると、受任することが、非常に怖くなってきました。行政書士として生きていくことが不安になってきました。

試験に合格しただけのひとりぼっちの私にできる行政書士業務は、何ひとつないのです。具体的な仕事のイメージも全くないのです。

実務講座の受講を決意

そこで行政書士の実務を教えてもらえる方法はないものか、と探し始めました。資格予備校には合格後の講座として実務講座があることがわかりました。また行政書士の方が開講している実務講座もたくさんの種類があることがわかりました。そんな中から私は、伊藤塾の実務講座を選びました。伊藤塾の実務講座は他の講座と比較して、講座内容が多岐にわたっていること、時間数が充実していることが、選択した理由です。行政書士の仕事が何もわかっていない私には、他の資格予備校の講座は、時間的に不十分に思えたのです。たぶんその程度の講義を聴いても、理解できていない状況にかわりはないように思えたのです。

一方、行政書士の方が開講している実務講座は、専門的な講座が多くみられます。内容も詳しく、専門分野に特化しているその道のプロが開講している講座です。その分野で十分仕事ができるような内容が組まれているようです。今後、自分が専門分野を決定し、専門分野に関する仕事をするようになったときには、とても役に立つものに思えました。受講してみたいと思えました。ですが専門分野を絞り切れていない自分、今後どのような仕事が入ってくるかわからない自分には、分野を選ぶことさえできていません。自分が遺言相続を専門分野としていきたいと考えていても、そのニーズがあるかどうかはわかりません。ニーズのある専門分野の仕事が少し入ってくるようになったら受講してみようと思ったのです。