どのように問題集に取り組んだら良いのでしょう

行政書士試験

取り組み方ひとつで効果がかわる

問題集に、とにかく繰り返して取り組めば効果が上がる、というわけではありません。取り組み方ひとつで効果が高まることもあれば、効果が出ないこともあります。

どうすれば効果的に問題集を使うことができるか。私自身が取り組んできた方法をもとに定年退職受験生でも合格できた勉強方法を紹介していきます。

私がお薦めする問題集は、もちろん『合格革命 行政書士 肢別過去問集』(早稲田経営出版・TAC出版)です。

肢別過去問集抜きには考えられない

『肢別過去問集』に繰り返し取り組むことが大切なことはもちろんですが、最初のページから最後のページまでひたすら取り組むことはかなり苦痛なことです。正直、私にはできませんでした。

「今度こそ最後のページまで進めるぞ」と決意を固めて、最初のページからはじめても、最後のページまで到達したことはありませんでした。どうにか憲法分野は好調に進みます。憲法分野はこれまで生きてきた知識で知っていることもあり、分量的にも手頃な量なのです。しかし憲法が終わると、だんだんとペースが落ちてきます。何しろ1000ページ近い問題集です。いつ終わるか予想もつきません。見通しがつかないとやる気もペースも落ちてきます。

民法や行政法、商法・会社法など、わからない問題が重なってくると続けることがいやになってきます。いやいや取り組むので、どんどんペースが落ちてきます。仮に、答えがあっていたとしても、正解した理由がわかりません。偶然に正解だっただけです。これでは学習にはなりません。

「この問題集は、能率が悪いから、違う問題集にしようかな」などと甘い考えがわいてきます。本当は違うのです。「わからないから、逃げ出したい」だけなのです。「終わりそうもないから、逃げ出したい」だけなのです。

高速で回すことで知識の抜け落ちを防ぐ

『肢別過去問集』は非常に優れた問題集です。ですがいくら優れた問題集であっても、購入しただけでは合格することはできません。あたりまえです。

何度も何度も繰り返し取り組んでいく中で、その内容を自分のものにしていくのです。知識を定着させていくのです。最初から最後まで1回やるだけで、すべてが頭に入るようなことはありません。少なくとも私にはそんな能力はありませんでした。

繰り返し繰り返し取り組むことで、少しでも内容が抜け落ちることのないようにしていくのです。抜け落ちる量を少しでも減らすためには、高速で繰り返すしかないのです。高速で回転させていくことで、知識が抜け落ちる量を減らすのです。自分が定年退職受験生であることを忘れてはいけません。

最初から最後まで、全てのページを1回転するのに、ゆっくりと長い時間をかけていると、問題集に取り組んでいるうちにどんどん忘れていきます。私はそうでした。忘れないうちに繰り返していけば忘れてしまう量を減らすことができます。忘れる量よりも覚える量を増やせれば、繰り返しているうちに知識の量が増えていきます。そのためにはとにかく高速で回転させるのです。定年退職受験生はとにかくすぐに忘れるのです。

1週間で1回転させることを目標に

では、どのくらい高速で回転させれば良いのでしょう。私の経験では、1週間で1回転できるようになると知識の定着が非常に良くなりました。この経験から『肢別過去問集』の目標は、1週間で1回転させることだと考えています。

『肢別過去問集』を初めて手にしたときは、1週間で1回転なんてできるわけがない、と感じると思います。私もそうでした。「できるわけがない。できるのは法律を勉強したことのある人だろう」「受験勉強の勝ち組で、勉強の要領のいい人だけだろう」と思っていたのです。

今はいえます。そんなことはありません。

「やろうとした人はできます」できるのは「やろうとした人だけ」です。この分量の問題を1週間でこなすには、それなりの覚悟が必要です。「やり抜く。絶対やり通す」と覚悟を決めて取り組んだ人だけが、1週間で1回転という別の次元の世界を見ることができるのです。

とにかく1回転目をこなす

といっても、最初は苦しいものです。1回転目は、まったく進みません。

①問題を読みます。②すぐに解答を読みます。①次の問題を読みます。②すぐに解答を読みます。………この繰り返しです。①②、①②、ひたすらこの2ステップの繰り返しです。

最初の頃は、①問題文を読んで、②理由を考えて、③解説を読んで、④わからないことを調べての4ステップは必要ありません。②考える、④調べるというステップはいらないのです。というよりは考えても仕方ないのです。何しろ考えられるほど知識がなのですから。「下手な考え休むに似たり」です。いやそれ以下です。休んでいた方が、頭にも体にも良いはずです。わからないことを調べているとさっぱり進まなくなります。調べても調べてもわからないことだらけです。進まなくなると嫌気がさしてきます。元になる知識の量が非常に少ないのですから、調べなければならないことばかりになってしまいます。とにかく最初の頃は、②理由を考える、④わからないことを調べる、というステップは必要ないことなのです。

ただひたすら読んでいるだけです。問題を解いているという実感はありません。ただ読むだけでも1000ページ近い書籍を読むのは大変なことです。ましてや何が書いてあるかわからないことだらけですから、なおさらです。しかしこの苦痛を乗り越えなければ、未来はありません。そう信じて読み進めます。これができなければ1週間で1回転という別の次元の世界に出会うことはできません。

法律ごとに区分することで苦痛を減らす

最初から最後のページまでを順番に進めていくのは、かなり苦痛を伴います。少しでも負担感を軽減するために考えた方法が、憲法、民法、行政法、商法・会社法それぞれのページを日数で分割する方法でした。同じわからないことであっても法律が変われば、気分が変わります。気分が変われば、飽きにくくなります。飽きなければ、それだけスピードも上がってきます。

とにかく続けていれば、いつかは終わります。最初から最後のページまで1回転すると非常に充実感があります。1000ページもある書籍を読み通したわけですから、自分を褒めてあげたくなります。心から喜んでください。自分を褒めてあげてください。とはいっても知識の量は、さほど増えているわけではありません。

2回転目、3回転目に即座に進む

そして2回転目に取り組みます。再び、自分に鞭を打つ日々の始まりです。1回転目終了後、すぐに2回転目を始めることが大切です。日数がたつとその分知識が抜けていきます。それほど頭に残ってはいないと思いますが、そのわずかに残った知識を大切にしたいものです。

よくわからない内容の呪文のような問題を読み、呪文のような解説を読み進めます。そしていつの日か、2回転目が終了します。思いっきり自分を褒めてあげてください。

そして3回転目開始です。なんとか終了。ここまでくると変な自信がわいてきます。「私って、すごい。3回も繰り返してる。このペースでいけば大丈夫だ」「『肢別過去問集』のチェック欄を全部埋めたぞ」でも本当は、まだそれほど知識の量が増えているわけではありません。まだ1週間で1回転できるまでには、いたっていないと思います。

だんだん疑問を解決したくなってくる

続いて4回転目です。さらに5回転目です。………繰り返しているうちに、いつしか1週間で1回転が回せるようになってきます。呪文のようだった法律用語が少しずつわかってきます。ばらばらだった知識が次第に結びついてきます。知識が結びついてくることで、さらに知識が増してきます。知らないことでも、「多分こうなるのではないか」と考えるようになります。しかし、わからないこともまだまだたくさんあります。

「なぜ? どうして?」疑問が生まれてきます。○の理由や×の理由をはっきりさせたくなってきます。この頃から次第に、引っかかったところは調べるようになってきました。

「なってきました」というのは、必ずしもそう決意を固めたわけではないのです。自然とそうなってきたのです。欲が出てきたのだと思います。問題を解くことが苦痛でなくなってきているのです。×や○の理由を知りたくなってきているのです。全ての理由を調べあげているわけではありません。あくまでも引っかかったところだけです。「全ての疑問を解消する」と決めて調べて始めると、いくら時間があっても足りなくなります。また遅々として進まなくなります。ですから引っかかったところだけで良いのです。完璧を求めてはいけません。完璧にと考えると、行き詰まってきます。

結果、20回転が私の到達点でした

10回転目に入ったあたりで、1日あたりの取り組みの分量の見直しました。自分の得意・不得意がわかってきましたので、それに合わせるようにしたのです。法律ごとの区分けを見直して、よりスムーズに進めることができるように、より能率的に進められるようにしました。

私は、最終的に肢別過去問集に20回転取り組みました。決して多い回数ではないと思います。私がよく参考にしていたブログでは、めやすとして50回転を薦めています。

【 参考にしていたブログ 】

【 参考にしていたYouTube 】

残念ながら私は肢別過去問集50回の世界を見たことはありません。上記の他にも『肢別過去問集』50回転をあげている方がおりますので、50回は本当に有効な回数なのだろうと思います。

肢別過去問集の力を信じて取り組もう

高速で『肢別過去問集』50回転が回せればいうことありません。しかしそれができる人ばかりではありません。私にはできませんでした。

でも『肢別過去問集』を克服する、と覚悟を決めて取り組むことでかなり効果をあげることができます。私も『肢別過去問集』中心で勉強し、何とか合格することができました。『肢別過去問集』の力を信じて高速回転できるまでがんばってみましょう。そうすればあなたはきっと行政書士試験の合格者になっているはずです。何しろ記憶力がどんどん落ちている定年退職受験生でも合格することができたのですから。